洛中庵 の日記
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本当にただの腰痛症?
2016.11.16
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立冬を過ぎてからの目まぐるしいお天気の変化と気温の乱高下のせいか、このところ腰痛症の方のご来院が目立ちます。
一口に腰痛と言ってもその原因、症状や経過は様々です。昭和55年(1980年)に治療業の最初の免状を頂いてから、かれこれ36年以上、鍼灸マッサージ院や接骨院、総合病院のリハビリテーション科、整形外科医院の理学療法室、それにメディカルトレーナー等、様々な関連職種を経験してきましが、「腰痛症の治療は奥が深い」という思いは、今も常に変わらず持ち続けています。
どこかで聞いたようなフレーズですが、まさに、『たかが腰痛。されど腰痛』と言うのが実感です。
腰痛治療に関して、昨日はあるクライアントから嬉しい報告をいただきました。
そのクライアント、Aさんは70代の男性。この秋に初めてご来院いただきました。
主訴は、腰痛と左臀部から左下肢全体にわたる強いしびれ。ご来院の時は、強いしびれのために数分間しか連続して歩けない状態でした。
Aさんは、今年の夏に市内の公立病院の整形外科を受診され、腰部のMRI(磁気共鳴断層撮影)検査などから、腰椎の加齢性の変形からくる腰痛症と診断されました。
しばらく、その病院で理学療法を受けておられましたが一向に好転せず、再び診察を受けると、今度は、神経系の難病の疑いがあるから別の専門医の診察を受けるように言われたそうです。
洛中庵には、つらい症状が少しでも楽になればと、奥様の紹介でお越しになりました。
Aさんから、いろいろお話をお聞きしてから、実際にお身体を拝見しました。
全身の施術と、各種の徒手検査の結果、頸部脊柱管狭窄症を強く疑いました。
まず、正確な診断が必要な事を説明し、市内にある脊柱管狭窄症の専門病院を紹介しました。
受診の結果はやはり、頸部脊柱管狭窄症でした。
かなり進行しており外科的な治療が必要との診断でした。
その病院では最先端の技術を駆使した極めて低侵襲性(身体への負担が少ない)の脊柱管狭窄症の手術(この場合は、頸椎椎弓形成術)をされています。
洛中庵のクライアントにも何人もこの手術を受けられた方がおられます。皆さん、それぞれのレベルで快復されています。
私も、Aさんの場合は手術の適応と思われましたので、Aさんにそのようにお伝えしました。(自然療法家を標榜しているからといって、外科的療法を全て否定しているわけではありません)
その後、Aさんは、その病院で手術を受けられ、一昨日に元気に退院されました。
辛かった脚のしびれは完全に消え、若干の違和感のみになっているとの事でした。
本当に良かったです。
お役に立てて嬉しく思います。
術後の違和感もしばらく経てば消えていくはずです。
Aさんが最初に診察を受けた、公立病院での診断は結果的に完全な誤診だったわけです。
洛中庵を初めてからこのようなケースをなん例も経験しています。
腰や下肢の痛みやしびれの原因が、必ずしも腰にあるわけではないという事を、医療者側も受診者側もしっかりと認識しておく必要があると思っています。
このケースでは、私が誤診に気付きましたが、白状しますと、その逆のケースもありました。
腰痛の治療は本当に奥が深いです。
《 あなたが あなたらしく 輝くように! 》
〈杉浦次郎〉