洛中庵 の日記
-
認知症と食の力
2017.09.05
-
前回(2017/09/02)の日記「鮮烈な香りと味に遠い記憶が鮮やかに蘇りました」の中で、
美味しい食べ物は人を幸せにするだけではなく、時には人の記憶も蘇らす力をも発揮する。
と書きました。食と記憶に関連した事として、最近私は、認知症と食べ物の関連についてよく思いをいたすようになりました。
高齢者介護施設の入所者の方で、認知症が進行して、毎日ほとんど無言で毎回の食事を無表情に食べておられる方が、差し入れでその方の好物の新鮮な果物を食べたとたん、笑顔になられ、「美味しい!」と口に出して言われた。
やはり、高齢者介護施設に入所され、抗認知症薬や向精神薬などの長期服用の副作用で、すっかり怒りっぽくなってしまった方が、その方が子どもの頃から好物だった、丁寧に手作りされたちらし寿司を食べた後に、調理の担当者に優しい笑顔で「美味しかった。ありがとう。」と言われた。
このような話を、高齢者介護の仕事に従事している方々からほとんど毎週のように耳にします。
今では私は、美味しい食べ物は、ある意味立派な抗認知症薬ではないかと思っています。
《 あなたが あなたらしく 輝くように! 》
〈杉浦次郎〉