洛中庵 の日記
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大豆による発ガン予防・再発抑制効果
2011.10.24
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今日(10月24日)は霜降(そうこう)ですね。いよいよ 秋も深まってきました。
毎年、時代祭・鞍馬の火祭りが終わると1年の過ぎる早さをしみじみ感じます。
さて、昨日の日記の続きです。
乳ガンの疫学的調査研究では、厚生労働省研究班が2003年、味噌汁と乳ガン発生率の関係について、「お味噌汁を一日3杯以上飲むと乳ガンの発生率が40%も下がる」と発表しました。
これは大豆に含まれるイソフラボンによるものと考えられています。
(※ガンの食事療法を実践中の方は、味噌汁の塩分濃度にご注意下さい)
また、これは大豆と胃ガンとの関係の調査ですが、岐阜県高山市のでは、男女とも大豆をよく食べる人は、あまり食べない人に比べて、胃ガンで死亡するリスクが約半分になるとの調査結果を発表しています。
(この研究では1992年に35歳以上の住民約3万人の食品の摂取状況をを調べ、その後の7年間の死亡者数と死因を調査しています)
尿中のフィトエストロゲンの排泄量が多い人(つまり、摂取量が多い人)は乳ガンの発生が少ないという報告もあります。このような疫学的報告は大豆及び大豆製食品が乳ガンを予防している直接的な証拠にはなりませんが、有力な状況証拠ではあると考えられます。
一般的に西欧人に比べて、東洋人には悪性度の高い前立腺ガンが少ない事が知られています。その理由として、大豆及び大豆製食品を多く摂取していることを示唆する研究報告も多数あります。(例えば、前立腺ガンを自然に発病するように遺伝子を改変したマウス(トランスジェニック・マウス)にゲニステインを投与すると、ガンの悪性度の進行が抑制される事が報告されています)
その他にも動物発ガン実験の研究で、ゲニステインが乳ガン、前立腺ガンや大腸ガンの発生を予防する効果があるとする報告が数多くされています。
さて、大豆による乳ガンや前立腺ガンの予防効果については、イソフラボンのフィトエストロゲン活性が重要なものと考えられていますが、大豆の抗腫瘍効果の理由はその他にもあります。
大豆イソフラボンのゲニステインには、ガン細胞の増殖を促進する"チロシキナーゼ"と呼ばれる酵素の働きを阻害してガン細胞の増殖を抑制したり、"アポトーシスという細胞死を促進する作用も知られています。
ガン組織が大きくなるためには、回りのに毛細血管を張り巡らして酸素や栄養成分を吸収しなければなりませんが、ゲニステインにはこの"血管新生阻害作用"も報告されています。
更に、イソフラボンには" 抗酸化作用"もあり、活性酸素やフリーラジカルの害を取り除いて、ガンの予防や再発抑制に貢献出来ると考えられます。
大豆イソフラボン以外にも、フィチン酸、プロテアーゼインヒビター、サポニン、フィトステロール、等にもガン予防効果が報告されており、これらの総合的な効果がガンの予防、再発抑制や治療に貢献していると考えらています。
一昨日(10月22日)、昨日(10月23日)そして今日の日記の内容の
結論として次のように考えています。「大豆及び大豆製食品の日常的な摂取により、ガン発生のリスクが上がることはない。むしろそれらの積極的な摂取により、乳ガン(ホルモン依存性の乳ガン、ホルモン療法を受けている人も含む)を始め各種のガンの予防、再発抑制を期待する事が出来る」
(※ただし、大豆の単一成分を精製した健康食品の摂取は発ガンリスクを高める懸念があり、それらの摂取については十分な注意が必要です。(特にホルモン依存性の乳ガンやホルモン療法を受けている人)
〈杉浦次郎〉
