洛中庵 の日記
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杏林予防医学研究所 山田豊文所長からの提言
2013.11.12
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一昨日(11月10日)の日記、「トランス脂肪酸、アメリカで全面禁止へ」の続きとして私の感想を書こうと思っていたところに、杏林予防医学研究所所長の山田豊文先生からの提言がメールで送られて来ました。
山田先生はわが国においてトランス脂肪酸の有害性をいち早く警告され、現在に至るまで出版物や講演会など、あらゆる機会を通してこの問題についての啓蒙活動を精力的に続けておられます。
洛中庵が山田先生のオフィスのすぐ近くにあるという不思議なご縁もあり、かねてから私も山田先生のお教えの影響を強く受けてきました。特にトランス脂肪酸に関する知見については山田先生より多くの事を学ばさせて頂きました。
まずは、昨日届いた山田先生よりの提言を原文のままご紹介致します。
皆様
いつもお世話になっております。
杏林予防医学研究所、山田豊文でございます。
先日、アメリカの食品医薬品局(FDA)が、トランス脂肪の食品利用を全面的に禁止するという方針を発表し
ました。
私がずっと危険だと訴え続けてきたことが、世界では着実に形になっています。
一方日本は、いつまでたっても行政が国民の命と健康を守るという最も最優先しなければならない仕事をせず、
世界から大幅に遅れ、笑いものになっていて、今回の件で、そのことがより一層明確になったと思います。
これを機に、日本でも、一日も早くトランス脂肪の食品利用禁止への流れに向かいますよう、
皆様のより一層のお力添えを何卒宜しくお願い申し上げます。
この件に関しまして、ブログをアップいたしましたので、是非ご覧ください。
<11/11エントリー>
アメリカでトランス脂肪禁止へ
http://kyorin-yobou.net/?p=3217
以下、ブログの詳細です。
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アメリカでトランス脂肪禁止へ
先日、アメリカの食品医薬品局(FDA)が、トランス脂肪の食品利用を全面的に禁止するという方針を発表し
ました。
単に「摂取を控えるように」「加工食品中の含有量を制限するように」というレベルではなく、
トランス脂肪の有害性を強く警告する、これまでよりもさらに踏み込んだ決定であり、非常に画期的なニュース
だと思います。
このニュースを知った時、さまざまな思いが私の頭の中を駆け巡りました。
専門家と称する人たちが、「日本人の摂取量は少ないから問題ない」といい加減なことを言い続け、
トランス脂肪の問題を半ば放置し続けてきたこと。
2007年、衆議院議員の山井和則さんが、私の著書『病気がイヤなら「油」を変えなさい!』(河出書房新社)を
読んで下さったことをきっかけに、国会で「トランス脂肪酸に関する質問主意書」を提出し、
国家レベルでトランス脂肪対策を行うべきだと主張したのに、これに対する答弁書の内容はけんもほろろであっ
たこと。
消費者庁では2009年から、食品中のトランス脂肪含有量の表示義務化に向けてさまざまな取り組みを行い、
機運が盛り上がっていたにもかかわらず、「日本人の摂取量は少ないから問題ない」という判断から、現時点で
も見送られたままになっていること。
そして私自身、全国各地で講演し、ことあるごとにトランス脂肪の危険性を訴えてきたものの、
「そんなに危険なものならとっくに対策されているんじゃないの!?」という半信半疑の目を向けてくる人も、決
して少なくなかったこと。
一方で、ヨーロッパや南米のほか、韓国や台湾といった日本の隣国においても、国家レベルでトランス脂肪の規
制が
積極的に行われてきており、トランス脂肪が危険であることはもはや「世界の常識」になっていること・・・。
FDAは、今回の規制を通じて「年間2万人の心筋梗塞患者の発生を阻止し、心臓疾患による死者数も7,000人
減らせる」としていますが、
トランス脂肪は決して心臓の健康を害するだけにとどまりません。糖尿病やうつ、発達障害、不妊、そしてガン
などとの関連性も示されており、
私たちの心と体をことごとく蝕んでいく“人殺しの油”なのです。
例えば韓国では、菓子メーカーの大手数社がトランス脂肪の利用を一切やめているのに、日本ではそういった傾
向が全くと言っていいほどみられませんし、
ある大手製パン会社の社長は、自社のパンを食べないようにしている(トランス脂肪や添加物の危険性を自覚し
ているため)という、笑うに笑えない話もあります。
そんな日本の食品メーカーに対し、私は声を大にして言いたい。「あなた方はこの“人殺しの油”を、これから
も日本全国にばらまき続けるつもりですか?
そんな仕事をしていて恥ずかしくないのですか?」と。
消費者庁では、当時の担当大臣だった福島瑞穂さんに直接話をさせて頂く機会があったり、
山井さんからも主意書の作成時に相談を受けたりするなど、トランス脂肪の問題とは人一倍深くかかわってきた
という自負があります。
また、私がトランス脂肪を避けるように教えた妊婦からはみんな、元気で頭のいい子供たちが生まれています。
野球や相撲、
ゴルフといったさまざまな分野で活躍しているアスリートたちにトランス脂肪対策をアドバイスした結果、
ケガをしなくなったり成績が上がったりするのも、つぶさに見てきました。
にもかかわらず、なぜ日本はトランス脂肪が“人殺しの油”だということを理解できないのか、なぜいつまで
たっても伝わらないのかと、
もどかしい思いでいっぱいでした。それだけに、今回のアメリカのニュースは実に感慨無量です。
FDAは今後、食品メーカーや関連団体に対して意見聴取の期間や対応策の猶予期間を2か月ほど設けた後、
トランス脂肪の安全性について最終的な決定を下し、原則禁止の規制を施行する予定とのことで、来年以降の動
きが大いに注目されます。
杏林予防医学研究所
山田豊文
以上、受信メール全文
《 あなたが あなたらしく 輝くように! 》
〈杉浦次郎〉
