洛中庵 の日記
-
「日本人のトランス脂肪酸の摂取量は健康上問題になるレベルではない」??
2013.11.17
-
11月12日の日記、「杏林予防医学研究所 山田豊文所長からの提言」の続きです。
先日、11月8日に朝日新聞電子版にワシントン発のニュースとして「トランス脂肪酸、米で全面禁止へ」という記事が掲載されました。
この記事を読んでの感想を書いている途中で、杏林予防医学研究所 所長の山田豊文先生からまさにこの件についてのメールが届いた為、山田先生からの提言をまず転載させて頂きました。
さて、先日私が朝日のこのニュースを読んでまず感じ、日記に書こうとしていたのは次の二点です。
まず一点は、「これでトランス脂肪酸摂取にまつわる諸問題が解決に向けて大きく前進するだろうな」(ただしアメリカにおいてですが…)
という事。
もう一点は、「相変わらずわが国の反応は鈍いな」という事です。
国の反応が鈍いのは相変わらずの事ですが、この記事の内容(結びの部分)にも呆れてしまいました。
もう一度朝日新聞電子版の記事を転載します。
トランス脂肪酸、米で全面禁止へ 健康への悪影響理由に
(朝日新聞)
【ワシントン=小林哲】米食品医薬品局(FDA)は7日、ファストフードやお菓子などに多く含まれ、とりすぎると動脈硬化などの原因になるとされるトランス脂肪酸の使用を全面的に禁止する方針を固めた。今後60日間で国民から意見を募り、開始時期などを含めた規制の詳細を決める。
トランス脂肪酸は、植物油を加工してつくるマーガリンや、お菓子や揚げ物油として使われるショートニングに多く含まれる。米国では2006年から、加工食品に含有量の表示が義務づけられており、ニューヨーク市など一部自治体では、独自に使用を規制してきた。
FDAによると、米国人のトランス脂肪酸の摂取量は、03年の1日平均4・6グラムから12年には日本人並みの同1グラムにまで減少。健康への悪影響が指摘されたことで、自主的に使用を避ける食品メーカーやファストフード店が増えたことなどが影響したとみられる。
ただ、一般家庭でよく食べられている冷凍ピザや電子レンジで調理するポップコーン、コーヒー用クリームなど含有する食品はまだ多い。FDAは、全国的な規制で、新たに年間2万人の心臓発作を減らし、7千人が心臓病で亡くなるのを防げるとしている。
日本では、食品での含有量の表示義務や使用規制は特にない。平均的な食生活を送っている日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、健康上問題になるレベルではなく、現時点で規制強化の動きはない。1日にとる総カロリーの1%未満にするよう求める世界保健機関などの勧告も満たしている。
(11/08 10:09)
記事の結びの部分、「日本では、食品での含有量の表示義務や使用規制は特にない。平均的な食生活を送っている日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、健康上問題になるレベルではなく、現時点で規制強化の動きはない。1日にとる総カロリーの1%未満にするよう求める世界保健機関などの勧告も満たしている。」
これには驚き、呆れてしました。何を根拠に健康上問題になるレベルではないと言い切れるのでしょうか?
これでは、「専門家と称する人たちのいい加減な発言」(山田豊文)や、「日本人の摂取量は少ないから問題ない」という国の現時点での判断を、そのままなんの検証もせず鵜呑みにして書いたと批判されても仕方がないと考えます。
このニュースを朝日新聞が報道したこと自体は大変有意義な事だったと思いますが、この"結び"で終わってしまったのではせっかくの記事が台無しです。
このような、多くの国民の生命と健康に直結する重大な内容を含む記事でこそ結びの部分は、朝日新聞の常套句「…としているが今後国の内外で論議を呼びそうだ」とか「これを受けての国の動向が注目される」等をを使って欲しかった、と皮肉の一つも言いたくなりました。
(朝日新聞の記者さん、すみません。でも心底そう思っています)
※写真は11月8日のNHKの番組『NEWS WEB』より。
現代日本の若者が好む食事はどちらかと言えば画面左側の内容に近いと思うのですが…
《 あなたが あなたらしく 輝くように! 》
〈杉浦次郎〉
