洛中庵 の日記
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「5年生存率」に異議あり
2014.11.11
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昨日発売の『週刊現代』の巻頭記事、【30万人の「医療ビッグデータ」がはじき出した生数値公開! これがすべての「がん」の5年生存率だ】を大変興味深く読みました。
10ページにわたる特集。いろいろと異論はありますがなかなか読みごたえがある内容でした。(但し、[「余命宣告」より長生きする人の生活習慣]の項の内容は全くの期待外れ。
「気持ち」が予後に大きく関係する(これは同感)以外は、良い患者になりましょう。医師、病院を上手に利用しましょう。というな内容、これらは生活習慣…??)。
記事を読んで一番違和感を感じたのは、そもそも5年生存率(診断から5年後に生きていられる確率)を基準にがん治療の成績を判断する事の意味です。もっとも、これは現在がん医療において広く一般的に使われている基準であり、週刊現代に責任があるわけではありませんが…。
がんの標準治療(手術、抗がん剤、放射線療法)を受けた場合の5年生存率は治療技術の進歩により確かに上がってきています。けれども、本当に大切なのは治療を受けた後(最低でも5年間)の再発率だと考えます。
目に見えるがんを取り除いてから数年後に再発したとしてもデータ上5年生存率には全く反映されません(再発しているか、していないかではなくあくまでも“生存"している確率ですから…)。また、"生存中"の生活の質も重要な要素だと考えますが、当然これもデータには全く反映されません。
そして、再発、再再発がんの治療成績は初発のがんに比べると格段に悪くなってしまいます(あくまでも標準治療のみの場合)。
以上のような理由から、がん治療を受けた側の立場に立ってその治療成績の判断基準を普通に考えた場合、「5年生存率」ではなく、最低でも「5年間再発していない確率」であるべきではないかと思っています。
〈がんは、進行した状態で見つかれば、依然として完治が難しい病である。だが、昔から恐れられていたような「不治の病」ではなくなっている。自らの行動によって制御しやすい病気である〉という記事中の意見には全く賛成です。
そして、がんを制御する「自らの行動」という事こそ、生活習慣の改善努力だと考えます。
この辺りの事をもっとしっかりと調査、取材して記事に反映していただきたかったと思いました。
鍼灸、温熱療法、栄養代謝療法などを組み合わせた施術やアドバイスにより、がんの予防・再発防止、治療に積極的に取り組んでいます。
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《 あなたが あなたらしく 輝くように! 》
〈杉浦次郎〉
